結論から
リベラルは増税を恐れず、大きな政府を目指すべきだと、強く考えています。
リベラルはしばしば減税(特に消費税減税)を訴えてますが、 消費税による税収は既に税収の30%と莫大になっている現状において、 消費税減税や消費税撤廃は既に現実的な選択肢ではなくなっているのではないかと考えます。
本当に消費税の穴埋めとして、法人税や所得税だけで穴埋めできるのでしょうか?
個人的には、消費税は本当に好きじゃないですけど、撤廃して欲しい位ですけど、 それでは済まないという現実があるのではないかと考えます。
福祉問題
現在、福祉従事者は極めて過酷な状況で働いています。
福祉に限らず保育所などのケア労働分野でも同様のことが起こっているでしょうが、ここでは福祉従事者を焦点に当てます。
私自身、重度身体障私自身害者として福祉サービスを受けていますが、 その領収書に記載されている金額から考えると、福祉従事者の時給はおそらく1000円を下回ることが推測されます。
これは言うまでもなく、国からの補助金などが削減されているからです。
そんな状況で、今後、若者達が望んで福祉業務に携わるでしょうか? 上記の状況において、そんな期待はできないでしょう。
昨今では、外国人労働者受け入れの話題も上がっていますが、そもそも福祉業界の待遇が悪ければ上手く行くはずがありません。
しかし、福祉業界の待遇が良ければ、外国人側から日本への福祉業界参入に関する打診さえ期待できるでしょう。
財源の問題
MMT理論に基づけば、自国通貨をどんどん発行すればいい…となりますが、 自国通貨を無制限に発行すれば更なる円安進行、物価高が進行することは明白です。
現状でも円安と物価高が進行している中、MMT理論を仮に採用していたら、 さらなる経済危機が避けられなかったはずです。
無制限な通貨発行が可能という考え方は、既に現実的には誤りである、そう明白に結果に出ていると言っていいでしょう。
では、どうすればいいか?単純かつ受け入れがたい結論ですが、増税しかないでしょう。
大きな政府
リベラルは自民党を「新自由主義」と叩きますが、 そう叩くのであれば論理的に「反新自由主義」のリベラルこそ「大きな政府」を志向しなければ筋が通りません。
新自由主義は「小さな政府」を目指す思想であり、 大ざっぱに言うなら「可能な限り民間に仕事をさせ、福祉を縮小する」という方向性です。
福祉を重視する、しかし財源が厳しいのであれば、 「増税して、福祉を充実させる」というのは論理的に当然の帰結になります。
自民党は極端な新自由主義を推進しているとは思いません、 むしろ保守的な自由主義に新自由主義を織り交ぜた、 国民への一定の社会保障を提供するバランスを取る、 現状維持政策といえるでしょう。
それでもリベラルが自民党を新自由主義だと批判するのであれば、 リベラル自身が増税を伴う「大きな政府」を掲げる覚悟が必要でしょう。
そもそも「福祉などの充実」と「減税」は、実現不可能に近いポピュリズム的な政策なのですから。
「大きな政府」を訴えることができるのは、リベラルだけなのですから。
福祉問題に留まらない低所得者層の救済案
「大きな政府」は、言い換えれば「高福祉・高負担社会」、もっと俗に言えば「北欧型社会」を指します。
現在の日本では、税金が「お上に吸い上げられているだけ」という感覚が強くあります。
しかし、例えば消費税に対して、低所得者層への還元を行う「負の消費税」など、 負担が過大な人に還元を行う政策を導入することが考えられます。
さらに、他の還元政策が実現すれば、税金の使い道に透明性が生まれ、 自分たちにしっかり還元されているという実感を得られるようになります。
これにより、国民の税金に対する意識も変わるでしょう。
仮に税金が高くなっても、低所得者層に対する十分な還元があり、 生活の質が向上すれば、国民生活全体の水準も引き上げられるはずです。
また、「負の所得税」の導入も検討に値します。
所得税は通常、納税の対象ですが、 一定の所得以下の人には政府が補助金を支給することで、生活を支援する仕組みです。
これらより重要な話として、生活保護受給者の医療は、医療券によって医療費が無料になりますが、 生活保護を受けられない低所得者層は、はるかに重い医療費負担を強いられています。
このような不平等を是正するため、大きな政府が目指す社会では、平等性を重んじ、 例えば医療費を所得に応じて累進的に軽減する仕組みを導入することが適切でしょう。
もちろん、これらの施策を実現するには、一時的に「増税の痛み」を伴います。
敢えて今まで挙げた政策に、優先順位を付けるなら以下のようになるでしょう。
- 医療費軽減(最優先:最悪の場合、命に関わる)
- 負の消費税(逆進性が強く、低所得者層へのダメージが大きい)
- 負の所得税(中長期的な効果が見込まれる)
これらが一度に実現されるとは、私自身思っていません。段階的な実現になるはずです。
しかし、それでもこれらの施策をもって、迅速に低所得者層への還元を行うことで、 その負担を上回る生活の向上を実感できるはずです。
大きな政府としての日本は、おそらく「日本型」になる
「北欧型」という言い回しをしましたが、おそらく北欧のモデルをそのまま日本に持ち込んでも上手く行きません。
日本と北欧諸国では、文化面を中心にあらゆる点が異なっています。
日本は「輸入依存型の社会」ですから、北欧とはかなり異なった形を取ることになるでしょう。
故に「日本型大きな政府」は日本独自のモデルとなり、今後の少子高齢化社会のモデルとして有益になる可能性は高いです。
リベラルに取っての大きな政府を打ち立てるメリット
個人的には、この施策を自民党が行っても、きちんと結果が出れば構わないとさえ思っています。
しかし、国民にとって「小さな政府 vs 大きな政府」という対立構造は分かりやすく、 二大政党制の樹立として極めて意義深いものになると思います。
二大政党制は国民の意思で政策を選べる、民主主義の根幹を支える話になります。 仮に「大きな政府」が実施され、その路線が国民にとって間違っていると感じた時、 自民党政権の小さな政府路線に戻すという選択肢がきちんと残されます。
仮に二大政党制の対立を嫌うとしても、それでもなお二大政党制体制の樹立は、 「日本の第三の道」という茨の道を歩むための土台になると思っています。
現在のリベラルは「反新自由主義」を唱えながら「減税」を訴えるという矛盾があります。 繰り返しますが「反新自由主義政策」を訴えるならば、 それは「大きな政府」の方向性であり、少なくとも減税とは直結しません。
財源の裏付けがない減税政策に実効性がない、という批判は最低限甘んじて受けなければなりません。 おそらく、国民の大半はその辺をきちんと理解していると思います。
世の中それほど理想論で動くわけではない、 だからこそ「リベラルには増税という痛みを伴いながらも、大きな政府志向の政党樹立、そして二大政党制の確立」を強く望みたいという結論になります。
おわりに
以上の主張は、我ながら理想主義的だと思います。
基本的にリベラル政党に発破を掛けたいという思いから公開しました。
細かい政策立案に関しては、各専門家にお任せする形になりますので、一応のビジョン提言として読んで頂けると幸いです。